Research

本研究室は、主に次の三つの研究領域で活動を行っている。

  1. 半導体ナノテクノロジー
  2. プラズマ・バイオプロセス
  3. プラズマ物理学

I. 半導体ナノテクノロジー

現在の世界経済を牽引する半導体業界は、今日も急速な成長を遂げている。半導体業界は、その基盤技術を、人口頭脳としての集積回路の設計技術と超微細加工技術におきながら、その対象とする製品を、大型コンピューターから、パソコン、携帯電話、薄型テレビ、ゲーム機器等と、時代とともに変えることで、常に、新しい巨大市場を作り出している。今から10年-20年後の半導体の巨大市場は、ロボットとも言われている。
こうした半導体産業の基盤技術の一つの大きな柱が、上述した超微細加工技術である。現在の半導体デバイスの量産技術では、すでに、直径30cmのウエハーと呼ばれるシリコン基板の上に、線幅100ナノメートルより細いの回路パターンを、数ナノメートルの精度で加工している。これは、例えて言えば、北海道の面積に相当する広さの平らな土地全体に、幅10cm程の線を用いて、あらかじめ決められた複雑な模様を、位置や線幅に数ミリメートルのくるいもなく描くようなものである。この超微細加工技術は現在も急速に進歩しており、数年以内に、この線幅はさらに1/3となり、32nm微細加工技術が実用化される。
このような超微細加工技術の中心を担うのがプラズマプロセスである。プラズマプロセスは、プラズマから照射されるイオンや中性ラジカル、紫外線などを用いることにより、半導体や絶縁体に極めて微細なパターンを形成したり、あるいは、高い機能性を持つ薄膜を堆積することに用いられている。
我々の研究室では、このようなプラズマプロセスにおけるプラズマと物質表面の相互作用の物理機構を、数値シミュレーションとビーム実験を用いて解析している。現在の進めている具体的な研究テーマは以下の通りである。

  1. プラズマ物質相互作用の理論・シミュレーション解析
  2. プラズマ物質相互作用解析用シミュレーションコードの開発
  3. 質量分析低エネルギーイオンビーム照射実験
  4. 半導体用低誘電率絶縁膜のプラズマエッチング特性解析
  5. 太陽電池用薄膜堆積プロセス解析
  6. プラズマディスプレイパネル(PDP)セル内プラズマ解析
  7. 光学素子用薄膜堆積プロセス解析
  8. 微細形状シミュレーションおよび計算アルゴリズム開発
  9. 低エネルギー二次イオン質量分析法におけるビーム表面相互作用の解析
  10. 大面積低温プラズマシミュレータの開発
  11. イオンビームによる機能性薄膜堆積実験

MD (Molecular Dynamics:分子動力学)によるシミュレーション例

動画のファイルはこちらからダウンロード可能です。(WMV形式, 7MB)

シミュレーション用クラスタマシン

浜口研専用のクラスタマシンが7セットあります。100以上のCPUが常時稼働しており、一部のクラスタにはノード間通信に非常に高速なMyrinet(ミリネット)が採用されています。

低エネルギー質量分離イオンビーム実験装置

II. プラズマ・バイオプロセス

半導体プロセスで用いられるプラズマプロセスは、常に高真空中で行われる。しかしながら、半導体以外の以外の分野では、真空中に導入できない材料のプロセスが必要な場合も多い。たとえば、蛋白質等の生体高分子や、液相中の化学反応を伴うようなプロセスに対しては、真空中のプラズマプロセスやイオンビームプロセスを用いることは出来ない。そこで、我々の研究室では、いままでプラズマプロセスが全く使われてこなかった分野にプラズマプロセスを導入することを目的に、新しい大気圧プラズマ・液中プラズマシステムを開発している。特に、バイオプロセスへの応用を念頭におき、現在以下のテーマで研究をおこなっている。

  1. 液接触・液中プラズマ装置の開発
  2. 反応性プラズマのテラヘルツ分光
  3. バイオセンサー用液中重合反応システムの開発
  4. 液中プラズマによるバイオフィルム分解システムの開発
  5. 超臨界流体放電によるマイクロプラズマ生成機構の解析
  6. 大気圧マイクロプラズマジェットの放電機構の解明

III. プラズマ物理学

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